それまでにない画期的な新機能を持った技術や、大きな性能向上を成し遂げた技術であっても社会的にすぐに受け容れられるわけでもないし、すぐに社会的に普及するわけではない。
例えば、キーボード配列に関しては、19世紀末にQWERTY配列が市場で支配的な製品デザインとなり、入力速度や入力作業に伴う指の負担などの技術的性能に関して優れているDVORAK配列、NECのM式配列、富士通の親指シフト配列(NICOLA配列)などの新しいキーボード配列が出ても先行のキーボード配列であるQWERTY配列に取ってかわることはできなかった。
またパソコンのOSとしては、1981年のMicrosoftのOSが市場で支配的であり、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)という新機能を持ったOSであるMacOSは1984年と早期に登場したにも関わらず市場で支配的になることはできなかった。
このように、機能や性能の優れた新しい技術が、以前から存在する古い技術に取って変わることができなかったという歴史的現象は一般に「技術のロックイン」と呼ばれている。
[関連参考資料]
1) キーボード配列の変遷に関する理論的考察
2) キーボード配列の変遷に関する図版的考察
3) 自転車に関する製品イノベーションver4-4.pdf
4) 自転車の製品イノベーションに関する参考図版ver3.pdf
[注]キーボード配列および自転車のProduct Innovationに関しては、授業の終わりの方で詳しく論じる予定である。