Intel社が開発したマイクロプロセッサーの技術的スペックの歴史的変遷(簡略版) 詳細版はこちら

佐野正博(明治大学経営学部)
名称 年月日
(原則として
発表年月日)
マイクロ
プロセッサーの
動作周波数
マイクロ
プロセッサーが
1回の動作で
同時に処理
できるデータ量
レジスタ・
サイズ
外部
データ
バス幅
システム
バス速度
(FSB)
マイクロ
プロセッサー
を構成する
トランジスタ数
(CPU回路の
線幅)
アドレス
可能な
物理メモリ
アドレス
可能な
仮想メモリ
(論理アドレス
空間)
関連情報 競合
CPU
主要
OS
インテル系
CPU採用
PCほか
その他
PC
4004 1971.11.15 750KHz
<注>
4ビット 4ビット 4ビット   2,300個
(10μ)
4KB
<注>

歴史上初のマイコン・チップ
日本のビジコン社からの電卓用LSI開発依頼を契機として開発された。そのため「電卓上がりのCPU」と称されることもある。
0.06 MIPS
    ビジコン社の
高級電卓

 
8008 1972.4.1 500 kHz
800 KHz
8 ビット 8 ビット 8 ビット   3,300個
(10μ)
16KB
初の8ビットCPU
0.06MIPS
(4004の2倍の総合的性能
    [8008採用パソコン]
Micral
(1973)
世界で最初に商業的に販売されたPC
[マイコンキット]
SCELBI-8H
(1974)
[計算器
精工舎 S-500
 
8080 1974.4.1 2 MHz   4,500個
(6μ)
64KB
性能向上により商業的に成功した8bitCPU
8080を採用したパソコンAltairは価格395ドルの組立キットであったが、コンピューターのホビー・ユーザーに支持され、数カ月で何万台もの注文があったため、こちらのCPUは8008と異なりよく売れた。
0.64MIPS
(4004の約20倍、8008の約10倍の総合的性能)
[8080互換CPU]
ZIROG
社 Z80
(1976)

[8080セカンド・ソースCPU]
NEC μCOM8080A

[モトローラ8ビットCPU]
MC6800(1974)
MC6809(1979)
CP/M
(1974)

Altair用
BASIC

(1975)
[8080パソコン]
MITS社 Altair8800
(1975.1)
IMSAI社 IMSAI 8080
などのS-100マシン
8080互換CPUマイコンキット]
NEC TK-80
(1976.8)
[Z80パソコン]
TANDY TRS80(1977.8)
SHARP MZ-80(1978.12)
[Z80互換CPUパソコン]
NEC PC8001
(1979.9)
NEC PC8801(1981.9発表)
[MOS Technology
MOS6502採用パソコン]

Commodore PET(1977.4)

AppleII
(1977.4)

APPLEIII
(1980.5)

[モトローラ 6809CPU採用パソコン]
富士通FM-8
(1981.5発売)

8086 1978.7.8 5 MHz
8 MHz
10 MHz
16 ビット 16 ビット 16 ビット   2万9千個
(3μ)
1MB
220

初の16ビットCPU
8080の約10倍の総合的性能
5 MHz>0.33 MIPS
8 MHz>0.66 MIPS
10 MHz>0.75 MIPS
コプロセッサー(専用FPU)は8087
[モトローラ16ビットCPU]
MC68000
(1979)
6万8000個の
トランジスタ数
PC-DOS
MS-DOS
vs
CP/M86
NEC
PC9801
(1982.10)
漢字ROM搭載,
5MHz,Cバス
 
8088 1979.3.2 5 MHz
8 MHz
8 ビット   2万9千個
(3μ)
1MB

IBM-PCに採用されたCPU
システム・バス幅が8ビットであることを除き、8086と同一の構造を持ったCPU。

5 MHz>0.33 MIPS
8 MHz>0.75 MIPS

  PC-DOS
MS-DOS

The IBM PC (1981.10)

IBM PC/XT
 (1983.10発表)
XT=eXtended Technology

三菱電機 MULTI16
(1981)
 
80286 1982.3.2 8 MHz
10 MHz
12 MHz
16 ビット   13万4千個
(1.5μ)
16MB
224
1GB 仮想記憶をサポートし、プロテクトモードを装備
コプロセッサー80287
6 MHz>0.9 MIPS
10 MHz>1.5 MIPS
12 MHz>2.66 MIPS
AMD
AM80286
(プロテクトモードの機能を生かすOSはこのCPUの発表当時にはなかった。そのため、 IBM PC/AT(1984.8発表)
AT=Advanced Technology
ATバス=ISAバス


NEC PC98XA (1985)
NEC PCPC9801VX(1986)

EPSONの98互換機
PC286(1987.4)
Apple社 Lisa
(1983)
Macintosh
(1984)
80386DX 1985.10.21 16 MHz

20 MHz
(1987.2.16)

25 MHz
(1988.4.4)

33 MHz
(1989.04.10)
32 ビット 32 ビット 32 ビット
  27万5千個
(1μ)
4GB
232
64TB 初の32ビットCPU
CPUの基本的命令セットに関して8086と互換性を保持
<WindowsOS=GUIの時代に対応するCPU>
<32ビットCPUの採用にIBMは消極的対応>

<IntelがDRAMから撤退し、CPU事業に集中>
16 MHz> 5 to 6 MIPS
20 MHz> 6 to 7 MIPS
25 MHz> 8.5 MIPS
33 MHz > 11.4 MIPS
AMD社 AM386(1991)

Cyrix社 Cx386SLC
(1992)

モトローラの32ビットCPU
MC68020(1982)
MC68030(1987)
IBM社OS/2
(1987.12
リリース)

Microsoft社
Windows1.0
(予告発表は1983.11.11
出荷は1985.11.20 )
Windows2.11
Windows3.0
(実質的には1990年、
日本語版は1991年)

COMPAQ社DESKPRO386
(1986)

IBM社PS/2 model80
(1987)

NEC社PC9801RA

(1988)
APPLE
Macintosh

(1984)
80486DX
1989.4.11 25 MHz

33 MHz
(1990.5.7)

50 MHz
(1991.6.24)
32GP
80FPU
<注>
  120万個
(25,33MHzは1μ、
50 MHzは0.8μ)
4GB
232
キャッシュメモリとFPUの内蔵による性能向上

25 MHz > 20 MIPS
[16.8 SPECint92, 7.40 SPECfp92]
33 MHz,128K L2> 27MIPS[ 22.4SPECint92]
50MHz,256K L2> 41MIPS[ 33.4 SPECint92, 14.5 SPECfp92]
Cyrix社 Cx486DX
Cyrix社 Cx486DX2(1993)

AMD社Am486DX2(66MHz)
AMD社Am486DX4(75MHz)
     
80486DX2 1992.3.3 50 MHz
(1992.3.3)
66 MHz
(1992.8.10)
  25MHz
33MHz
120万個
(0.8μ)
CPU内部に倍クロック回路を設けることで,CPUの内部処理をFSBの倍速で行うことで処理性能の向上を図った。例えば、486DX2 50MHzなら,FSBは486DX 25MHzと同じ25MHzであるが,CPUの内部処理はその倍の50MHzで動く。(CPU66MHz=FSB33MHz×2)
       
80486DX4 1994.3.7 75 MHz
100 MHz
(1994.3.7)
  160万個
(0.6μ)
CPUの内部処理をFSBの3倍の速度で実行することで処理性能向上を図った。さらに,内部キャッシュが486DX および 486DX2 の8KBから16KBに拡張された。
(CPU75MHz=FSB25MHz×3)(CPU100MHz=FSB33MHz×3)
       
Pentium
(80586)
ペンティアム
1993.3.23 75 MHz
100 MHz
[1994.10.10]

60 MHz
90 MHz
[1994.10.10]

120 MHz
[1995.03.27]
150 MHz
[1996.01.04]

66 MHz
133 MHz
[1995.06]
166 MHz
[1996.01.04]
200 MHz
[1996.06.10]
32GP
80FPU
64 ビット

50MHz
60MHz
66MHz
310万個
第1世代,P5
60MHz,66MHz,
0.8μ

320万個
第2世代,P54C
75MHz,90MHz,
100MHz,120MHz
0.6μ

330万個
第3世代,P54C
一部の120MHz
133MHz,150MHz
166MHz,200MHz
0.35μ
外部データ・バスを64 ビットに拡張
60MHzPentiumで100 MIPS
80486 DX/33 MHz(27MIPS)の約4倍の性能
8086/5 MHz(0.33 MIPS)の約300倍の性能


60 MHz > 100 MIPS
66 MHz > 112 MIPS
75 MHz(FSB50MHz)> 126.5 MIPS
90 MHz(FSB60MHz) > 149.8 MIPS
100 MHz(FSB66MHz) > 166.3 MIPS
120 MHz(FSB60MHz) > 203 MIPS
133 MHz(FSB660MHz) > 218.9 MIPS
AMD-K5
Am5K86
初のPentium互換CPU

Cyrix
6x86MX PR200(166MHz)
Windows95
(1995)
部分的にはではあるが、OSレベルでIntelの32ビットアーキテクチャ (IA-32)に対応した
   
MMX Pentium
(80586)
1997.1.8 166 MHz
200 MHz

233 MHz
(1997.6.2)
66MHz 450万個
P55C
0.35μ
MMX命令を追加したCPU
音声や画像に関する処理のための57個のMMX(MultiMedia eXtension)命令とともに、マルチメディア演算用のレジスタが追加されたCPU
166 MHz (5.59 SPECint95, 4.30 SPECfp95
The iCOMP Index 2.0 rating 160.)
200 MHz (6.41 SPECint95, 4.66 SPECfp95
The iCOMP Index 2.0 rating 182.)
233 MHz (7.12 SPECint95, 5.21 SPECfp95
The iCOMP Index 2.0 rating 203.)
       
Pentium Pro
(80686)
1995.11.1 150 MHz
166 MHz
180 MHz
200 MHz
FSB
60MHz
150 MHz
180 MHz

FSB 66MHz
166MHz
200MHz
550万個
(150MHzは 0.6μ,
166MHz以降 0.35μ)
64GB
236

<注>
Celeronは最初は物理メモリのアドレス幅が36ビットであったが、商品としてマーケティング的な差異化のために、PPGAパッケージ以降は32ビットに制限されているので、232=4GBである。(神保進一(1999)『最新マイクロプロセッサテクノロジー』日経BP社,pp.109-122)
P6 マイクロアーキテクチャに基く
最初のプロセッサ

16ビット命令は、エミュレーションで処理されるためその実行速度は遅い。

200MHz PentiumProで440MIPS

150 MHz (6.08 SPECint95, 5.42 SPECfp95 on Alder 256K L2)
166 MHz (7.11 SPECint95, 6.21 SPECfp95 on Alder 512K L2)
180 MHz (7.29 SPECint95, 6.08 SPECfp95 on Alder 256K L2)
200 MHz (8.09 SPECint95, 6.75 SPECfp95 on Alder 256K L2)
       
Pentium II
(80686)
1997.5.7 Klamath
(クラマス)
233 MHz
266 MHz
300 MHz
(1997.5.7)

Deschutes
(デシューツ)
333 MHz
(1998.1.26)

350 MHz
400 MHz
(1998.4.15)

450 MHz
(1998.8.24)
32 GP
80 FPU
64 MMX
233MHz〜333MHzのCPUは66MHz

350MHz以上のCPUは100MHz
750万個
Klamath
0.35μ

Deschutes
(333MHz以上のCPU
0.25μ
P6アーキテクチャにMMX 命令を追加したCPU
Pentium II プロセッサは、L1 データ・キャッシュとL1命令キャッシュをそれぞれ16Kバイトに拡張するとともに、L2キャッシュのサイズは、256K バイト、512K バイト、および1M バイトまたは2M バイト( スロット2 のみ) とPentiumProよりもさらに拡張されている。
同時に2個のCPUが利用可能な設計。

266MHz PentiumIIで466MIPS

233 MHz (9.49 SPECint95, 6.43 SPECfp95)
266 MHz (10.8 SPECint95, 6.89 SPECfp95)
300 MHz (11.6 SPECint95, 7.20 SPECfp95)
1998年第3四半期に低価格PC向けインテル互換CPUが躍進
AMD

K6-2

Cyrix
MediaGX
MII
     
Pentium III 1999.2.26 450MHz
500MHz
(Katmai)
(0.25μ)
|
500 MHz
533 MHz
550 MHz
600 MHz
650 MHz
667 MHz
700 MHz
733 MHz
850 MHz
866 MHz
933 MHz
1 GHz
(Coppermine)
( 0.18μ)
1999.10.25
(1.0GHzは
2000.3.8)

|
サーバー用として
最高 1.4GHz
(0.13μ)
(2002.1.8)
32GP
80FPU
64MMX
128XMM
100MHz
133MHz
950万個
ただし CPU本体は
820万個

(第1世代)
Katmai
450,500,533B,
550,600,600B
0.18μ


2,800万個
(第2世代)
Coppermine
500E,533EB,
550E,600E,
600EB,650,
667,700,733
0.18μ
1999.10.25


4,400万個
(第3世代)
0.13μ
モバイル用
1GHz〜1.33GHz
2001.7.30〜2002.9.16
低電圧用
850MHz〜1GHz
2002.1.21〜2002.9.16
超低電圧用
500MHz〜866MHz
2001.130〜2002.9.16
サーバー用
1.4GHz 2002.1.8
  SSE命令を追加したCPU
500MHzのPentiumIIIで1,000MIPS

高度な2D/3D グラフィックス、モーション・ビデオ、画像処理、音声認識、音声合成、テレフォニ、およびビデオ会議などの処理強化のためにMMXを拡張したSSE (Streaming SIMD Extensions)を追加

1.20GHz以降が0.13μそれ以前は0.25μ

133 MHzsystem bus
1.0B GHz, 933, 866, 800EB, 733, 667,
600B, 600EB, 533B, 533EB MHz

100 MHzsystem bus
1.0 GHz, 850, 800, 750, 700,
650, 600E, 600, 550E, 550, 500, 450 MHz
       
Pentium IV 2000.11.20 1.4 GHz
Willamette
(2000.11.20)
|
2GHz
Northwood
(2001.8.27)

2.8GHz
(2002.8.26)
32GP
80FPU
64MMX
128XMM
400MHz
533MHz
4,200万個
Willianettoコア
0.18μ
400MHz

5,500万個
Northwoodコア
2.4GHz
0.13μ
400MHz
500MHz
  SSE命令をさらに強化したCPU
SSE2 (Streaming SIMD Extensions 2)

ビデオ、音声、暗号化、画像、および写真の処理の強化と高速化のために、144 個の新しい命令を追加

整数演算ユニットはCPUのコア周波数の2倍で動作

1.5GHz(SPECint2000 535, SPECfp2000 558)
2.4GHz(SPECint_base2000 819,SPECfp_base2000 806)
       
Itanium
(アイテニアム)
1999.10.4
発表

量産出荷は2001.11.29
時点でも?
733 MHz
800 MHz
(1999.10.4)
64ビット 64ビット
64GP
82FPU
64ビット
data bus
(plus 8 bits of ECC).
266MHz CPU
2,500万個
Merced
(0.18μ)

Memory
3億個
16EB
264
16EB
264
初代64ビットCPU
Itaniumのアーキテクチャは、インテル社にとって「80386 以来最大の技術革新」であると言われている。
アドレス可能なメモリの単位1EB(exa byte,エクサ・バイト)は1GBの234倍である。また命令レベルの並列性によって複数の命令を同時に実行できるようになっている。
       
ItaniumII
2002.07.09
量産出荷
900MHz
1GHz
(2002.07.09)
64ビット 64ビット  

2億2000万個
McKinley
(0.18μ)

2代目の64ビットCPU
初代Itaniumの1.5〜2倍のパフォーマンス
CPUの集積度は初代Itaniumの10倍

インテル(R) Itanium(R) 2 プロセッサ 1GHz
(3 次キャッシュ 3MB) @525,080 円 2002年7月9日
インテル(R) Itanium(R) 2 プロセッサ 1GHz
(3 次キャッシュ 1.5MB) @279,190 円 2002年7月9日
インテル(R) Itanium(R) 2 プロセッサ 900MHz
(3 次キャッシュ 1.5MB) @166,250 円 2002年7月9日
       



表に関する注記


関連情報