技術革新の連鎖的構造 ---- 部品レベルの技術革新から、製品レベルの技術革新への発展
トランジスタやダイオードという新しい部品の発明を利用した製品レベルの技術革新
コンピュータ分野>2世代コンピュータという新しい製品群の登場
家 電 分 野>トランジスタ・レジオやトランジスタ・テレビなどの新しい製品群の登場
[技術的発展方向は、ともに小型化+信頼性向上という点では共通性がある]
トランジスタやダイオードという新しい部品の発明は、コンピュータ分野における第2世代コンピュータという技術革新だけではなく、様々な分野において技術革新をもたらした。基本的部品が真空管からトランジスタ・ダイオードに置き換えられるという形での技術革新は、コンピュータ分野だけでなく、ラジオやテレビなどの家電製品分野でも同じような形で起こった。
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[トランジスタ・ラジオやトランジスタ・テレビなどの技術革新]
ソニーはトランジスタを利用したラジオ(トランジスタラジオTR-55)を1955年8月に日本で最初に発売した。電池駆動の小型ラジオ(据え置き型ラジオのように電源コードを必要とせず、好きなところに持ち運んで聞くことができたラジオ)というそれまでにない画期的な商品であった。
世界最初のトランジスタラジオの発売はアメリカのリージェンシー社で1954年12月であった。ソニーとしては自社で世界最初のトランジスタラジオを発売するつもりであったので「落胆した」と言われている[ソニー広報センター編『ソニー自叙伝』ワック出版部,1998,p.106]。
ただし、リージェンシー社はテキサス・インスツルメント社のトランジスタを買って生産したトランジスタラジオであったのに対して、ソニーは自社でトランジスタを製造してトランジスタラジオを生産した。それゆえ自社生産のトランジスタでラジオを生産した会社はソニーが世界最初であるということになる。(前掲書,p.108)
ソニーがトランジスタを自社生産したのは、当時のソニー(当時は東京通信工業という名称であったが)は規模が小さく資金も不足していたこともあり、トランジスタの製造特許を持っていたウエスタン・エレクトリック社(WE社、トランジスタを発明したショックレーらが属するベル研究所の親会社)に特許使用料を払って自社でトランジスタを生産するというライセンシー契約をしたためである。ライセンシー契約では、製造のノウハウを教えてもらえないのでソニーは自社生産にかなり苦労し時間がかかったと言われている。(前掲書,pp.96-103)
[出典]
「ソニー半導体の歴史」http://www.sony.co.jp/Products/SC-HP/B_profile/overview/history.html
2003.10.9アクセス
[参考Webページ]
『Sony History』第1部第6章 第1話 「トランジスタに“石”を使う」 http://www.sony.co.jp/Fun/SH/1-6/h1.html
『Sony History』第1部第6章 第2話「“東通工”から“SONY”のマークへ
」 http://www.sony.co.jp/Fun/SH/1-6/h2.html
『Sony History』第1部第6章第3話「幻の“国連ビル”ラジオ http://www.sony.co.jp/Fun/SH/1-6/h3.html
『Sony History』第1部第6章第4話「12種類の回路」 http://www.sony.co.jp/Fun/SH/1-6/h4.html
『Sony History』第1部第6章第5話「12種類の回路」 http://www.sony.co.jp/Fun/SH/1-6/h4.html